« 『梅の花』でランチ。 | トップページ | 『糸島 伊都菜彩』 »

『ハドソン川の奇跡』を観て・・・

名匠クリント・イーストウッド監督の映画、
『ハドソン川の奇跡』

2009年にニューヨークで実際に起きたアクシデントを
映画化した本作品は奇跡的な生還劇として世界に広く
報道された、航空機事故でした。

Dscf0758
  *HudsonRiver....from a Car*

ニューヨークでのアクシデントと言えば・・・

2001年の9*11同時多発テロ事件、
2年後の2003年のニューヨーク大停電事故、

その2大アクシデントを、
私は現地ニューヨークで体現しています。

なのでこの映画は、
あらゆる現場でのNYの街の様子が蘇り・・・
胸が縛り付けられるシーンが何度もありました。

゜。°。°。°。°。°。°。°。゜。°。°。°。

「9*11の取材に行って欲しい」

通常は電話一本で否が応なく、
速やかに取材現場に向かいますが、
・・・・この時ばかりは違いました。
当時の番組「ザ・ワイド」のプロデューサーだった、
読売テレビの結城豊弘さんに呼び出され、
あらたまった真剣な表情でそう告げられた、あの時・・・

テロ事件発生以来、閉鎖されていた世界中の空港が、
一斉に開港となり渡米可能となった即日のことでした。
番組に多くいるリポーターの中でもアメリカで仕事が
出来るワーキングビザを取得していたのは当時、
私だけだったのです。

どんな取材も断ることはしたことはありません。
ただ、この時だけは、断わる事が出来ない自分を
恨む自分がいました。だって、万が一の場合、
命の保障なんてどこにも無いのですから・・・
はじめて、死を意識し覚悟した取材でした。

「いつ、帰れるのですか?」
未曾有の事件取材の前でその時点では、
帰国がいつになるのか誰にも分り得ない質問、
当然応えは無いだろうと理解をしつつも、私は
心のより所として咄嗟にその言葉をかけていました。

そして、これは・・・
随分後になり何気なくNYで確認し分ったことですが、
用意されたNY便の復路のエアチケットの日時は、
2週間も先の日程が記されていました・・・・

成田からのNY行き飛行機は乗客は少なく、ガラガラ。
ディレクターとカメラクルーは現地で調達する事もあり、
私の座った2階席は私ともう1組だけでした。
しかも、その1組はターバンを巻いた外国人・・・・・

あの時の恐怖・・・
ナーバスな感情・・・
JFK空港へ到着するまで、
一睡も出来ず、気が抜けず・・・
頭には数日前に見たビルへ飛行機が
突進していく、あの異常なまでの様が
何度巡ったことか・・・

この時に感じたさまざまな出来事は、
ブログでは書ききれないので、またいつか・・・

I_love_ny_013
                    *Hudson River from a Pier*

『ハドソン川の奇跡』

この映画も観て・・・
私が体験した2001年の恐怖と重なり、
涙が滲む場面もありました。

そして・・・

同時多発テロ事件発覚から3週間後でしたでしょうか、
季節も変わり、急に秋になったNYで慌ててセーターを
購入した頃・・・現地での取材を終え、ようやく日本へ
という支持を受けJAL機で帰国する際の出来事です。

あと数十分で成田空港へ到着というタイミングで・・・
担当の機長からの機内メッセージが流されました。

「 皆様、本日のご搭乗誠に有難うございます。
 まもなく、成田空港へ到着となります。
 機長より、一言ご挨拶をさせてください。

 私事ではありますが・・・

 長年努めて参りました職ですがこの度定年退職の為、
 私は、今日が最後のフライトとなります。
 
 現職中、先に起きましたNYでの事件は、皆様と同様、
 私に取りましても大変心痛む出来事でありました。
 そうした中、今日皆様を無事にお送り出来ました事は、
 大切な命を預かった者として心からの喜びと
 感じております。
 
   皆様・・・
 長いフライト、本当にお疲れ様でした。
 
 どうぞ、これからもお元気でお過ごし下さいませ。
 ご搭乗、誠に有難うございました。」

こんなコメントだったでしょうか・・・

機長のお顔は拝見出来ませんでしたが、
長く空を旅した機長にとっても、あのテロ事件は、
生々しく、辛く耐え難い出来事であったのでしょう。
最後は少し涙声のようにも聞かれました。
こんなドラマチックなコメントを聞く事もそうですが・・・
まさにその取材をして、同飛行機に居合わせ帰国する
私には、この取材の最後の最後・・・
強く胸に突き刺さった、機長のコメントでした。

そして・・・

メッセージが終了すると共に、
何処からともなく、拍手が・・・
機内のここかしこで、大きな、大きな
温かい拍手が・・・

窓越しの席・・・
ぼんやり見えてきた日本列島を眺めながら、
ホッとする安堵感に包まれた私は、
命を預けた者として・・・

「有難うございます!有難うございます!」と、
心の中で何度も何度も叫びました。そして、
NYの事件現場では気を張っていたのか、
取材中は一度足りとけして流すことの無かった涙が、
知らず知らずに流れていました。

I_love_ny_015
  *NY同時多発テロ事件のコーディネーター照子さんと*

命・・・・
その重さは計り知れません。
でも、その重さを知ることは、
生きていく上で一番大切なように思います。

様々な体験をして感じた、命の重さ、尊さ・・・

さまざまな場面に遭遇し、それらを感じられる瞬間が
あったことは本当に得がたい時間であると感じます。

I_love_ny_016
      *素敵なブライダルショット...from a Pier*

ニューヨークでコーディネートをお願いし、
テロ事件後、毎年のようにNYに行き、お友達としても
時間を過ごさせていただいている、二宮照子さん。

彼女には・・・

その後の2003年のNY大停電の際、
まさにその瞬間を一緒にいたので、
その時も本当にお世話になりました。

あの時にも感じた、人としても大切なこと・・・
大変な時を共に体験したからこその、絆・・・
また、機会があれば言葉にしたいと思います。

そうそう・・・

『ハドソン川の奇跡』の映画の最後に・・・
アクシデントに遭遇した乗客ひとりひとりとのご縁。
そしてすべての皆様の裏側にそれぞれ尊い生活がある。
エンドロールの途中で、そんなコメントがありました。

大事なものは、きっと・・・
危機とした時に、人と人とが、
強く結ばれ、見えてくるのかも知れませんね・・・・

July4th060033
           *独立記念日HudsonRiverに上がる花火*

嵯峨聖子ホームページ
http://www.sagaseiko.com

サンミュージックプロダクション
http://www.sunmsic.org/

|

« 『梅の花』でランチ。 | トップページ | 『糸島 伊都菜彩』 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 『梅の花』でランチ。 | トップページ | 『糸島 伊都菜彩』 »